本書は、一般社会側の認識形成に重点をおいている。目標として形成すべきと考えている認識とは、概略以下の通りである。
一般社会の過剰期待
備えあれば憂い少なし
うつ病は防ぐことはできない。だが備えることはできる病気である。
うつ病は「誰でもなる病気」である。自分が発病するのかどうか事前に予測は不可能であるし完全な予防策もない。発病するかもしれないし、もしかしたら一生発病しないかもしれない。我々一般社会は、人生におけるこのようなリスクを認識しておく必要がある。
現代の医学は、うつに対して何が出来て、何が出来ないのか。そして自分たち一般社会はうつ病に対して何を予期しておき、実際にはどのように対処すればいいのか。それらの問題点は、一般社会側が予め事前に認識しておかなければならない。
その事前認識が過剰期待を防止し、結果として悪循環と回復までの期間の無用の長期化を回避することに繋がる。
では、上記のように一般社会にとって必要な事前認識とは何か。本書ではそのような論点を幾つか取り上げ、著者なりの整理と説明を試みる。
以上